社会インフラに興味があり、大学では社会基盤学を学びました。街づくりや防災、途上国への発展支援などを扱う学問です。就職活動を行うにあたり、様々な業種を調べる中で、金融もまた社会を支える重要なインフラであることに気がつきました。金融を通じて社会を動かす、そんな仕事がしたいと考え、当社を選びました。

入社後、ネットワーク・エンジニアとしてキャリアをスタートしました。大和証券のシステムを支えるネットワークの設計と構築が最初の仕事でした。大規模なシステムを安定稼働させるためには、基盤の設計が重要です。自分でネットワーク全体の構成を考え、ベンダーやエンジニアと協働しながら進めました。経験が浅いからといって甘えるわけにはいきません。必要な知識を身につけるため、勉強の連続でした。

入社して3年目の頃、大和証券グループが新しく開業した、大和ネクスト銀行のシステム構築プロジェクトに携わりました。仕事の進め方がわかってきた時期ということもあり、関係部署との調整役を任されます。膨大な人数が関わる大きなプロジェクトだったため、スケジュール調整や、課題解決の議論に奔走しました。主体的に行動して進めることで、大きな案件を動かしているという実感を得ることができ、充実の毎日でした。無事にサービスがリリースされ、ニュースや新聞で取り上げられたとき、今までにない達成感がわき上がったことを覚えています。新サービスの立ち上げに参画したことは、貴重な経験になりました。

その後、大和証券向けのプライベート・クラウド環境の導入を担当しました。従来は、新システムを導入するたび、新規で物理的なサーバーやネットワークを構築しており、プロジェクトに着手してからインフラ環境を引き渡すまで2ヶ月程度かかっていました。対して、プライベート・クラウドは、あらかじめ機能を備えた仮想的な環境を用意しておき、必要に応じてその一部を割り当てて使用します。プライベート・クラウドを稼働させることによって、インフラ環境を整備する期間が1～2週間に大幅に短縮できました。新サービスを迅速に提供できるようになり、大和証券グループの価値向上につなげることができました。

私の担当は、サーバーなどのプライベート・クラウド基盤を導入し、社内のニーズに合わせた環境構築を行うことでした。プライベート・クラウドを支える新しい仮想化技術は、それまでネットワークを担当していた私にとって未知の領域でした。日本語の有用な情報もまだ少なく、英語の記事も併用しながら検証のために実際に手を動かして試行錯誤する日々が続きました。トラブルが起きると、クラウドを利用するすべてのサービスに影響が出てしまうため、妥協は許されません。また、要件にマッチした環境を一から構築することに比べると、システム上の制約もでてきます。各部署の要望を受け、どこまでクラウド環境にニーズを反映させることが可能か検討しながら、社内調整を進めました。難しいプロジェクトでしたが、プライベート・クラウドの導入を成功させたことは大きな自信につながりました。そして、身につけた技術は、今も私の強みになっています。

入社8年目のとき部署異動をして、お客様が大和証券グループ外の企業となり、業務内容も大きく変わりました。ITコンサルタントとして、他ベンダーと共にプロジェクト計画や実行を支援する仕事です。

ある大手金融会社の仕事をしていたときのことです。お客様がクラウドに関心を持っていることを知る機会がありました。そこで、依頼されていた支援業務とは別に、前の部署で担当していたクラウド知識からAWS（Amazon社が提供するパブリック・クラウド）とプライベート・クラウドを活用するシステムを提案したところ、その内容が評価され、開発を任せていただけることになりました。受注できた時は、本当に大きな喜びを感じました。システムエンジニアからITコンサルタントに役割が変わっても、それまでに身に付けてきた知識と経験が役に立ち、自分自身の成長も実感できました。こういった提案を受け入れてもらえたのも、お客様の近くで仕事をすることで築いた信頼関係があったからだと思います。

入社11年目でマネージャーに昇進し、課長になりました。女性マネージャーは男性に比べると、まだ多くありませんが、これからもっと増えていくはずです。私自身も女性マネージャーとして活躍する姿を見せることで、マネージャーになりたいと思う女性が増えるように後押ししていきたいと考えています。現在はPM（プロジェクトマネージャー）として担当案件を進めながら、組織のマネージャーとしても配下にいる8人のメンバーそれぞれが担当するプロジェクトをフォローしています。各メンバーが異なるプロジェクトを担当しているため、複数プロジェクトの進捗と課題を日々チェックし、メンバーひとりひとりと密にコミュニケーションをとりながら、一体感をもって仕事を進めています。

個のメンバーが高いモチベーションを持ち、チーム全体で力を発揮できる、そんな組織をつくっていきたいです。私ひとりで新しい技術情報すべてをキャッチアップできるわけではありません。チームを信頼し、知識とアイデアを寄せ合って、よりよい結果が生み出せるように、これからも各メンバーとともに切磋琢磨していきたいと思います。