誰のものでもない自らの視点で
経済の流れをとらえ
「未来」を伝える

リサーチ部門

神田 慶司Keiji Kanda

経済調査部
(取材当時)
2004年入社

質の高い情報を適時発信し、
大和証券グループの価値向上に貢献

大学で経済学を学ぶ中で、実体経済の動きを理解できる人間になりたいと考えたのがシンクタンクを志望するきっかけでした。学部卒であることに少なからず不安はありましたが、若手を育てる仕組みが整った環境で経済分析に携わることができたのは、本当に幸運だったと思います。上司・先輩の手厚い指導や政府機関への出向など多くの知識と経験を蓄積できる機会をいただき、エコノミストとして、社会にインパクトを与える情報発信ができるようになりました。
現在、私は日本経済調査課の課長・シニアエコノミストとして、10名の課員をマネジメントしながら、社会的に関心の高いテーマに関するレポートの執筆や、「日本経済予測」など定期的に発表する経済見通しの取りまとめを担っています。また、官公庁や大和証券のお客様である事業会社や機関投資家などへのレクチャー、講演会、マスメディアからの取材や寄稿などの機会をいただくことがあります。これらを通じて大和総研および大和証券グループの企業価値向上を図ることが我々の使命だと考えています。

政府の景気判断の一端を担った経験

入社後に様々な経験を積み、自分の成長に活かせるのが大和総研のリサーチ部門の大きな魅力です。私の場合はその1つに、内閣府への出向がありました。入社5年目のことで、任せられた主な仕事は「月例経済報告」における個人消費の担当と「経済財政白書(年次経済財政報告)」の作成でした。自分の分析結果をもとに議論がなされ、必要に応じて修正が加えられた上で、最終的に政府資料として公表されました。経済分析は入社時から携わってきた仕事であり、それ自体に戸惑いはありませんでした。ただ、政府の景気判断や経済政策などにつながるため、それまでとは別次元の責任の重さを知りました。また、当時の職場はプロパー職員だけでなく民間企業や各省庁からの出向者が多数おり、様々なバックボーンを持つ方々と一緒に仕事ができたことも貴重な経験になりました。出向翌月の2008年9月にリーマン・ショックが発生し、2年目の2009年9月には自民党から民主党への政権交代が起きるなど、社会的に大きな出来事があった時期でした。そんな中、重責を担いながら日本経済の動きを分析ができたことは、今でも仕事に活きる私の財産になっています。

シンクタンクとして積極的に発表した
新型コロナに関するレポート

自分たちの見解を世に示すレポートの発表は、ときに大きな決断を伴うことがあります。新型コロナウイルス感染拡大の日本経済への影響をいち早く示したのもその1つでした。2020年2月初めのことで、まだ日米欧で感染拡大が始まる前。訪日外国人旅行者の減少や中国経済の減速といったマイナス要因は認められていたものの、日本経済全体への影響は限定的との見方が大勢でした。ただ、私たちの分析では厳しい経済状況に陥る可能性が認められ、上司とも相談して、早期の感染収束もあり得るが「ここは1度、世間に警鐘を鳴らそう」と決断しレポートを発表しました。その後の事態は悪化を辿り、我々も刻々と変化する感染状況や経済動向を見ながら1〜2週間ごとにレポートを発表。社内外の反響はこれまで経験したことがないほど大きく、シンクタンクとしての信頼と期待を高めることができたと感じました。

経験を積むことで、データから「真実」が見えてくる

自分の発表したレポートが反響を呼ぶのは大きなやり甲斐になりますが、私は「皆が気づかないことを先んじて把握できる」のが、この仕事の醍醐味だと感じています。我々が使うデータのほとんどは、公的統計など誰もが入手できるものです。ただ、膨大な生データをどう扱い、どのように加工し、読み解くかのスキルは、プロフェッショナルが集まるシンクタンクのような組織で多くの経験を積まなければ身につきません。そうした力をつけることで、一般的に言われていることと異なる真実が見え、より説得力のある情報の発信が可能になります。「日本を代表するエコノミスト」と呼ばれる当社の先輩方と肩を並べられるよう、これからも分析力や情報発信力を鍛え続けるつもりです。

学生へのメッセージMessage

就職活動は、様々な業界の方から直接話を聞ける貴重な機会でもあります。私は早くからシンクタンクをはじめ調査部門のある企業などを第1志望にしていましたが、進む道が定まっていなければ、是非たくさんの情報に触れ、色々な将来像を描いてみてください。ご自身が気づいていない興味や目標がきっと見つかるはずです。不安や悩みを抱えて辛い時期かとは思いますが、ぜひ悔いのない就職活動を行ってください。その中で当社とのご縁がございましたら、嬉しい限りです。

1日のスケジュールSchedule

  • 07:00

    出社

    メールや課員のレポートをチェック。在宅勤務する日もあります。

  • 09:00

    レポートなどの執筆

    レポートや外部原稿を執筆。(単著・共著合わせて月3本ほど執筆しています。)

  • 10:30

    取材対応

    新聞や雑誌、テレビなどの取材に対応します。景気見通しなどをコメント。

  • 11:30

    ランチ

    手の空いた課員数人を誘ってオフィス周辺のお店でランチ。

  • 13:00

    社外でのミーティング

    大和証券の顧客でもある事業法人などに日本経済の現状や見通しを説明。

  • 15:00

    会議

    次回公表の「日本経済予測」のメインシナリオや論点などについて社内で議論。

  • 16:00

    資料作成

    今後のミーティングやレポート作成のための準備を進めます。

  • 18:00

    退社

    メリハリをつけ、遅くまで残業することのないように心がけています。

キャリアステップCareer Step

  • 2年目

    入社後に様々な研修を受けた後、経済調査部に配属。上司・先輩の指導を受けながらエコノミストの道を歩み始める。

  • 5年目

    内閣府に出向。プロパー職員や各省庁・民間企業からの出向者とともに月例経済報告や経済財政白書の作成に携わる。

  • 7年目

    2年間の出向から戻り元の経済調査部へ。より幅広い観点から日本経済の分析に取り組む。

  • 10年目

    政策調査部に異動。財政や社会保障などを分析し、日本の政策課題に関する知見を深める。

  • 15年目

    経済調査部へ。翌年から日本経済調査課の課長となり、マネジメントやレポートチェック、日本経済予測などのとりまとめを担う立場に。